高次脳機能障害

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは、交通事故などによる脳外傷、
脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、脳炎・低酸素脳症などの
病気が原因で、脳が部分的に損傷を受けたためにおこる障害。
外見から障害があることが分かりづらいため、
「見えない障害」と言われている。そのため、周囲から誤解を受けたり、
本人や家族の負担が大きなものになることがある。

高次脳機能障害にはさまざまな症状があり、
損傷を受けた脳の部位やその大きさによっても症状は異なる。
また、1つの症状だけでなく、重複して現れることも多く、
元々の性格や周囲の環境も症状の現れ方に影響するため、
同じ高次脳機能障害者でも、その症状は人それぞれである。

症状はそれぞれ異なるため、その対処法も人それぞれ異なり、
自身模索しながらではあるが、経験とこれまで調べて学んだ知識を以下にまとめる。

症状

記憶障害…新しいことが覚えられなくなったり、
以前のことを思い出せなくなったりする。
▶︎メモする。繰り返し行って日課として習慣付ける。
手帳とリマインダーアプリを使う。

注意障害…必要な情報に適切に
意識を向けることが難しく、集中力が続かず
他の刺激に振り回されたり、物事をスムーズに進められなくなる。
気が散りやすく、長時間の作業や複数のことに
注意しながら同時に行うことが難しかったりする。
▶︎一つずつ完了してから次の作業をする。
タスク完了する時間を多めに見積もりゆとりを持つ。
時間を区切ってこまめに小休憩を入れる。
(行きたくなくても一旦お手洗いにいくなど。)
タスクが複数ある際はTo Doリストを作成して完了したら斜線を引く。
マルチタスクは避ける。

遂行機能障害…効率が良い方法を考えて
段取り良く実行することが難しく、イレギュラー対応が苦手となる。
物事の優先順位をつけることが難しく、
何から手をつけていいのか分からない状況になる。
▶︎シンプル且つ細かで具体的な手順書を用意し、
その通りに行動する。指示を受けたら、緊急度や重要度を確認して
納期から逆算してゆとりのあるTo Doリストを用意する。

脳疲労…本人にはあまり疲れの自覚はないが、
ミスが増えたりいつもより時間がかかったりする。
眠くなったりぼーっとすることが増え、
周囲からは怠けていると見られる。
▶︎疲れのサインに気づく(あくび,イライラ,頭痛など)。
なるべく長時間の作業は避け小休憩を挟む。水を飲む。

社会的行動障害(脱抑制)…思ったことをすぐ口にしたり、
食べたい物や欲しいものを我慢することができず、
後先考えずに行動してしまう。
▶︎行動する前に数秒待つ練習をする。
周囲に相談してから行動する。周りと相談してルールを決める。

社会的行動障害(感情コントロールの低下)
感情のコントロールが難しいため情緒不安定になり、
怒りっぽくなったり、急に泣き出したり場をわきまえず笑い出したりしてしまう。
▶︎深呼吸する。その場から立ち去る。

社会的行動障害(意欲•発動性の低下)
何事もやる気が起きず、ぼーっとしている。
興味関心が持てない。そのため、周りからは
「怠けている」と誤解されやすい。
▶︎好きなことから始めてみる。
気分転換する。(散歩,音楽を聴く,ストレッチなど)

社会的行動障害(コミニュケーション能力の低下)
相手の立場になって、相手の気持ちを推測したり
思いやることが苦手になる。
▶︎よく接する人には予め障害のことを
説明して把握してもらっておく。
信頼できる人と一緒に対応を振り返る。

社会的行動障害(退行•依存)
態度や言動が子供っぽく、自分でせずに周囲の人に依存してすぐ頼る。
▶︎自分でできることは責任を持って行う。時間にゆとりを持つ。

社会的行動障害(固執性)
こだわりが強く、やり方を変えたり、融通が効かなくなる。
▶︎その行動のメリットとデメリット両方考えてみる。
やってみてダメだったら戻せばいい
という心持ちで違う方法も試してみる。

病識の欠如…明らかに問題があるにも関わらず、
すぐ大丈夫と返答したり、できると思い込む。
自分の症状を否定したり認めなかったり、他人のせいにする。
▶︎こんな症状があるんだと高次脳機能障害について知る。
支援してくれる人の話に耳を傾けてみる。

失語症…人の話が理解できなかったり、
自分が思っていることをうまく話せなかったり、
何が書かれているのか理解できなかったり、
計算や数字を理解することが難しくなるため、コミニュケーションに問題が出る。
▶︎うまく伝わらない時は時間を置いてみる。
ゆっくり文章にしながら頭の中を整理する。
聞いた内容を反復して相手にこの解釈で合っているか確認しながら進める。

失効症…道具の使い方や上手に使う
方法や手順がわからなくなる。
▶︎安全を優先にして無理に進めない。
周りに気聞いてみる。

失認証…視力に問題はないが、
左側/右側などに見落としが出る。
物や知っている人の顔を見ても認識できず、
何の物か誰であるるかがわからない。
▶︎周りに頼れる人がいればダブルチェックを依頼する。

リハビリ

高次脳機能障害は、脳の損傷を受けた部分が傷跡として残るため、
完全に回復することは難しいものの、
リハビリをすることによって症状を改善することができるだろう。

実際、私が高次脳機能障害者となってすぐの頃は、
集中力とやる気もなく、すぐ眠たいと言って、
40分間あるリハビリをろくに受けることが困難であったが、
リハビリを続けることで、脳疲労は無くならないものの
耐久時間は伸びている。負荷量や周りの環境によって耐久時間は異なるが、
リハビリであれば今は続けて3コマは受けられるだろう。
リハビリは、どんな病気でも焦らず続けることが大事である。

私は単に高次脳機能障害としてだけではなく、
同時に身体障害(体幹失調や左半身に軽い麻痺など)があったため、
理学療法士さんと作業療法士さんのリハビリも同時に受けていたが、
高次脳機能障害のリハビリとしては言語聴覚士さんのリハビリを受けている。

言語聴覚士さんのリハビリでは、
嚥下のリハビリとして少しずつとろみを薄めていった
飲み物の飲み込みや食事をとろみ食から刻み食、普通食へと
移行する練習をした。
発音の練習としてはパタカラ体操をした。
書き取りの練習としては、小学生の国語の宿題のプリントなどをこなした。
脳トレとしては、間違い探しや点つなぎ、
数字探し、問題文の通りに行動することなど色々やった。
計算の練習としては、1桁の足し算引き算を暗算でこなした。
時にトランプをしたり、PCを使用して
毎月オリジナルのカレンダー作りもした。
また、定期的にWAIS-Ⅲという知能検査を実施し、評価してもらった。

他にも色んなリハビリをしたが、覚えていない🙇

仕事

高次脳機能障害だからといって働けないわけではない。
私の場合は、就労移行支援施設に通ってから
一般企業に正社員として採用してもらったが、
先にも述べたように症状は人それぞれである。
だから、私も就労前に5〜6回通ったが、
障がい者職業支援センターに相談するのも良いだろう。

または、就労継続支援A型・B型で障害と
付き合いながら働くことも可能である。

まずは、お住まいの市町村窓口や
担当のケースワーカー・計画相談員に相談してみるのが良いと思う。

また、高次脳機能障害は要件を満たせば
障害年金を受給することができる。
障害年金の受給額は、認定基準によって変わるため、
認定と併せて問い合わせしてほしい

就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)とは

就労移行支援

就労移行支援とは、障がい者向けの職業訓練制度である。
この制度を利用できるのは、基本的に2年間の期限付きで、
65歳未満という年齢制限がある
また、前年の世帯収入によって利用料が発生する場合がある。

就労継続支援A型

就労継続支援A型とは、
障害のある方が一般企業などでの就職が困難な場合に、
一定の支援がある職場で雇用契約を結んだ上で
働くことができる障害福祉サービス。
利用期間や利用期限の定めはなく、
事業所との雇用関係が続く以上は働き続けることが可能

就労継続支援B型

一方、就労継続支援B型とは、
障害のある方が雇用契約に基づく就労が困難である場合に、
雇用契約を結ばずに働くことができる障害福祉サービスであり、
年齢制限はない。障害や体調にあわせて自分のペースで働きながら、
就労に必要なスキルなどを習得することも可能だが、
給料はそんなに高くはない。
事業所と雇用契約を結ばないため、
賃金ではなく「工賃」として生産活動に対する対価が支払われるが、
工賃は最低賃金を保障しなければいけないという決まりはない。

終わりに

高次脳機能障害は、「見えない障害」と言わている通り、
外見上では判断できないだろう。
私は幸か不幸か同時に身体障害もあったため、
こちらが説明しなくても、パッと見て障がい者だと
周りが認知して接してくれることがほとんどである。
しかし、そうではない方は、よく接する人には
障害の症状について把握してもらう方が生きやすいだろう

そのためにはまず自分が抱えている障害について
詳しくは知らなくてもなくても、
自分自身が知ることが第一歩であるだろう。

私自身、高次脳機能障害を抱えて約7年になるが、
まだまだ勉強段階で完全には把握できていない。
一緒に学んで行けたら幸いである。

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